Tech総研ホーム > エンジニアの生態 > エンジニア解体新書 > 決定!エンジニアが思わず涙したアノひと言大賞2004
涙|ひと言|過酷|顧客|感謝|誠意|手紙|ありがとう|トラブル|感動
みんなの評価:★★★★★
「エンジニア?まったく興味ありませんでした」 そう言って笑う彼女は、若き女性エンジニア。大学卒業後、ほかの会社はなんだかピンとこなかったという理由からこの業界に足を踏み入れる。彼女が身を置くのは金融系のシステム開発。まったく右も左もわからぬ中で大小さまざまなプロジェクトにチームの構成員として携わりながら、チームリーダー、プロマネジャーを目指すための日々を重ねてきたという。
入社5年目、あるプロジェクトの話が舞い込んできた。 銀行合併による双方のシステム統合。顧客管理のデータを扱う非常にデリケートな業務である。彼女は入社5年目で、その企画の中盤から任務終了まで、プロジェクト推進チームリーダーとして参加することとなる。依頼先の会社にフロアを新たに設け、プロジェクトが終了に至るまで、毎日顧客とともに過ごしていく。その中に女性は彼女、ただひとり。
特につらかったのが最終段階の1週間。システムが正式に動き出すまであとわずかという時期に、特別体制として夜間待機がしかれるのだ。顧客ともども近所のホテルに缶詰になって、ストレスの多い状態で生活しなくてはならなくなる。女性の身としては、つらい。長い間緊張にさらされ、真夜中でも動ける体制をとっていなくてはならないため、体力的にも精神的にもギリギリの状態。辞めたいと思ったことも何度もあったという。
それでもようやくすべての工程が終わると、予想以上にトラブルが少なかった。サービス開始当日も、滞りなく業務は進行した。顧客スタッフと彼女たちは、障害報告の書き込まれるホワイトボードの前で、そのクオリティーの高い仕事のあがりに、互いに肩をたたき合って安堵の言葉をかけ合ったという。
「ありがとう。大成功を収めたのはあなたたちのおかげですよ」 顧客の一人が、涙ながらに彼女の手をとりその言葉を口にしたのは、プロジェクト終了当日の、打ち上げの席でのことだった。任務に携わったほぼ全員と固い握手を交わし、労をねぎらう男の姿に彼女はとまどった。 「感動していたんです。素直にうれしかった。あんなに感情的に、心のこもった言葉をいただいたのは初めてだったんですよ。みんな事務的なあいさつばっかりで。後にも先にも、あんなに強烈な感謝といたわりの言葉はなかったですね」
何も知らずにこの業界へ飛び込んでしまってからはや6年。幾多の困難を乗り越えてきた彼女は今、こんな言葉を話してくれた。 「これからですか? うん、もう一度あんな気持ちのこもった言葉を言ってもらいたいです。それくらい人の気持ちを動かせる仕事をしてみたいですね」
この先彼女は、何度となく「ありがとう」という言葉を耳にしていくのだろう。
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